子どもの漢方

おねしょの相談《NaturalLife33_’13.6》

時折おねしょの相談を受けます。多くは小学生高学年。お母様がつれていらっしゃいます。そのうち治るだろう思っていても,学校行事やクラブ活動,地域活動などでお泊まりのイベントがあるときには,本人も親も本当に気が気でない思いをされます。その時までに治したいとは思っても,残念ながら確実な治療法といえるものはありません。

おねしょは小学校低学年で約10%、小学校高学年で約5%にみられるといわれます。つまりクラスに2人~4人ぐらいの数ということです。成長に伴っておねしょをしなくなるのは,尿をためる膀胱の大きさが成長することと,夜間に排尿を抑制する抗利尿ホルモンの分泌が多くなることに起因します。なかなかおねしょが改善しないのは,これらの成長が未熟なためということになりますが,その背景には身体的な成長の問題だけでなく,精神的なストレスや睡眠障害などが関わることもあるといわれています。また夏場改善していたのに冬に再発することも多く,体を冷やす習慣も要注意です。

相談に訪れる子の大半は男の子で,外遊びやスポーツも大好きな子がほとんどです。一見したところ成長に問題があるようには思えませんし,ストレスが多いような感じもしません。そうなると治療の必要性に疑問を覚えることもあります。

実際のおねしょの治療には様々な方法があり,西洋医学的な治療ではホルモン剤やうつ病に使用する薬が用いられることもあります。しかしこれらの薬物療法には抵抗を覚える方が多いのも事実です。漢方的な治療の基本は子供の成長を支えることです。それぞれの子の体質,性格,夜尿の状況などを考慮して,バランスの良い成長を促すことを目指します。

漢方治療を始めてから比較的早くおねしょが止まる子もいますが,なかなか効果が得られないこともありあます。いずれの治療法においても,しばしば「起こさない,あせらない,おこらない」ということが言われます。子供の健やかな成長に目標を置き,あせらずに取り組んでいくほかないのだと思います。「おねしょは必ず治るんだよ」と安心させてあげたり、おねしょのなかった日にはほめてあげるなど、親の温かいこころのサポートは子供にとっても,親自身にとっても重要なことかも知れません。

カテゴリー