更年期と手指の痛みとの関係

手の指に痛みやしびれ、さらには関節の変形などの症状が現れる病気があります。とくに女性に多く、更年期を過ぎると増加する傾向があります。こういった症状は関節リウマチや脳の疾患などの場合もあるため、気になる場合には医師の診察を受けることが必要です。

女性は50歳頃に更年期を迎え、女性ホルモンが大きく減少します。体の大きな変化として閉経があり、その際にのぼせやホットフラッシュ、倦怠感、めまい、精神的不安といった症状が発生することが多く、これがいわゆる更年期障害です。

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは月経などの生殖機能に影響するだけでなく、脳の機能や脂質代謝、骨や皮膚の代謝などにも関わっているため、閉経後に骨粗鬆症や脂質代謝異常症など、さまざまな失調が現われる可能性があることも知られています。

手指の痛みやしびれ、関節の変形は、前述の関節リウマチや脳の疾患などとの関連がない場合、以前は手の使いすぎによるものと考えられていました。しかし現在はエストロゲンの減少が原因の一つとして認識されています。エストロゲンの分泌減少により、手指の関節や関節を包む膜、指を動かす腱、腱を包む腱鞘などが弱くなり、炎症が起こると、痛みやしびれ、こわばりなどを発症するのです。

これらの症状に関連する疾患にとして、指の第1関節が炎症を起こして変形するヘバーデン結節、第2関節が変形するブシャール結節、腱や腱鞘が腫れて指が動かしにくいバネ指、手首の母指側が痛んで腫れるドケルバン病、手のひらの付け根で神経が圧迫されることで手指の痛みやしびれを来す手根管症候群、親指の軟骨がすり減って痛む母指CM関節症などがあります。

対症療法として痛みや炎症を抑える薬物療法があります。さらに手指の固定、あるいはストレッチなどが施されます。状態が悪い場合には手術が必要な場合もあります。また女性ホルモンの類似物質の補充として、大豆由来の食品の摂取が奨励されています。

漢方薬もしばしば利用されます。一般的な関節痛の治療に用いられる疎経活血湯(そけいかっけつとう)や当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)などが、手指の痛みやしびれにも有効であるという報告があります。また体の衰えを緩和したり、血流を改善する漢方薬を体質に合わせて選択して利用すると、症状の緩和や予防に役立ちます。悪化すると日常生活にも大きな影響を及ぼしますので、早めの対応が大切です。

写真:トウキ(セリ科) 秋に根を収穫し、生薬の当帰とする。当帰は更年期障害の治療にも、関節痛の治療にも多用される。