症状別漢方紹介

体の錆(さび)《NaturalLife40_’14.2》

体が“錆びる”いう表現をお聞きになったことがあるでしようか。最近テレビや雑誌などで目にする機会が増えています。

錆は元々金属が酸素や湿気によって腐蝕したもので、鉄の赤錆や銅の緑青がこれに当たります。では体が錆びるとはどういう事でしょうか。

私たちは呼吸によって酸素を体内に取り入れ、二酸化炭素を排出しています。取り入れた酸素は体内で起こる様々な反応に関与します。その過程で活性酸素と呼ばれる反応性の強い物質が発生します。活性酸素はウイルスや細菌などを攻撃して体を守る働きがある一方で、私たち自身の細胞も傷つけてしまいます。肌のシワやシミの増加は活性酸素の関与が強いといわれています。私たちの生命維持に欠かせない酸素ですが、その酸素に起因する細胞の損傷が体の錆ということになります。

シミやシワが増えるのは加齢によると考えられるように、体の錆は老化の原因でもあり、また加齢した体は錆びやすいともいえるでしょう。

漢方の古典によると「女性は28才が最も強壮な時期で、35才には顔がやつれ始め、42才でシワや白髪が目につくようになる」「男性は32才が最もたくましく、40才で髪や歯が弱くなり、48才でシワや白髪が目立つようになる」と書かれています。30代、40代で衰えが始まると聞くと、早すぎると思われる方もおられるでしょうし、また心当たりがあると感じられる方もおられるでしょう。もちろん個人差のあることです。

紫外線や喫煙、お酒、ストレス、食品添加物などは活性酸素を増加させる因子と考えられています。身近に存在するものですが、生活習慣の中で、これらの影響を少なくする工夫が大切だと思います。

またビタミンEやビタミンC、ポリフェノールなどには、抗酸化作用という錆予防効果があることが知られています。色の濃い野菜を豊富に摂取する習慣を身につけたいものです。

漢方薬の中でも、血流を改善する処方などでは抗酸化作用があることが分かってきました。活性酸素は血管の中を傷つけ、血栓を生じさせ、血流障害による様々な疾病を引き起こす可能性もあります。人は血管から老いてくると表現されることもあります。血流障害による疾患はやはり40代から増加します。

働き盛りのころがターニングポイントです。忙しい方ほど生活習慣を見直してみましょう。