月経・妊活の漢方

月経周期が早いときの漢方

月経周期は28日前後7日程度までが、正常とされています。それよりも短い場合、甚だしいときには十数日で次の月経が始まってしまうような状態は、何らかの体調の異常が考えられます。このような状態を月経先期と呼び、以下のような原因や対応がとられます。

【原因と治療】
中医学では次のような体質が関係していると考えます。
(1)気虚(ききょ)
体力や免疫力が低下している状態です。飲食の乱れや過労、考えすぎなどが原因で胃腸が弱くなると、血流を維持する血管も弱くなり、出血が起きやすくなります。長期化すると精神的にも疲れが増したり、あるいは根本的なエネルギーの不足にもつながることがあります。このタイプの出血は色や質が淡白で、量は多く、唇や顔色も淡く、脈が弱い傾向があります。
気虚の治療には補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や帰脾湯(きひとう)などが用いられます。

(2)血熱(けつねつ)
①元々のぼせやすく暑がりであったり、あるいは辛いものを食べ過ぎることなどで、血に熱がこもった状態となると、血流が盛んになりすぎて出血が起きやすくなります。このタイプの出血は、量が多く、色は紫紅色あるいは深紅色で、粘っこく、舌の赤みが強く、脈が速い傾向があります。
このタイプの治療には、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)や温清飲(うんせいいん)、清営顆粒(せいえいかりゅう)などが用いられます。

②ストレスによってもカーとなって血液に熱がこもり、血流が盛んになることがあります。このタイプの出血は、量が多いこともありますし、少ないこともあります。血色は紫紅色で塊が混ざることがあります。下腹部や胸脇に張った痛みが出ることもあります。舌が赤くなり、脈は張った感触と速くなる傾向が見られます。
このタイプの治療には加味逍遥散(かみしょうようさん)や竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)などが用いられます。

③過労や慢性病、出血、脱水などによって体液不足となっても、血液は熱がこもりやすくなります。それによってやはり血流が盛んになり、出血を助長します。このタイプの出血は量が少ないのですが、ときに熱が盛んになりすぎると出血量が多くなることもあります。血色は紅色で粘りがあります。頬が赤くなりやすく、手足にほてりを感じます。舌も紅色で、脈は細くて速い傾向があります。
このタイプの治療には知柏地黄丸(ちばくじおうがん)や杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)などが用いられます。