煎じ器について
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漢方薬の飲み方として古くから伝わる主たるものが煎じ薬です。生薬を煎じる(煮出す)ために、よく使われてきたのが土瓶です。土瓶は江戸時代にはごくありふれた生活用具でしたが、現在ではお持ちの方も少ないのではないでしょうか。生薬は鉄器を嫌うとされているため、ガラスやホーロー、ステンレスなどのお鍋ややかんでも煎じることは可能です。
ご家庭で煎じ薬を作る場合には毎日30分~1時間程度の時間を要します。火加減を調節しながら、吹きこぼれや、水分の蒸発によるこげ、空だきなどに注意する必要があります。また煎じる時に生じる臭いは、それも効果の一部になると言われるのですが、生薬によっては強い臭いが部屋中に広がって困ることがあります。こういったことから煎じ薬は敬遠されがちです。 -
これらの問題を軽減するための一つの方法として、自動煎じ器の利用が挙げられます。生薬と水をセットすれば、火加減は自動でコントロールされ、吹きこぼれ等の心配がいりません。また、臭い成分はフタで冷やされて再び容器に戻る仕組みになっているため、臭いの拡散が軽減されます。
煎じ器の選び方
自動煎じ器は、熱を発生する本体、水や生薬を入れるガラス容器、臭いもれを防ぐフタから構成されます。機械によって容器の形やフタの開け閉めのしやすさなどが異なりますが、煎じ薬を作る上での性能は、ほとんど違いはありません。
土瓶は、金属臭のしないお湯を沸かすことができ、遠赤外線効果で、ゆっくりした熱伝導が特徴です。漢方薬の成分をよりよく引き出すには遠赤外線効果のある土瓶が良いともいわれており、煎じ薬専用に土瓶を活用されている方もいらっしゃいます。