症状別漢方紹介

十全大補湯 じゅうぜんたいほとう

胃腸を強くする四君子湯(しくんしとう=人参(にんじん)・白朮(びゃくじゅつ)・茯苓(ぶくりょう)・甘草(かんぞう))と血を補う四物湯(しもつとう=熟地黄(じゅくじおう)・当帰(とうき)・芍薬(しゃくやく)・川芎(せんきゅう))を合わせ、免疫を高める黄耆(とうぎ)と体を温める桂皮(けいひ)を加えたもの。気も血も補う、まさに大補する処方です。

 

参考書

 

新 一般用漢方処方の手引き((株)じほう;平成25年9月26日)

成分・分量 人参2.5~3 黄耆2.5~3 白朮3~4(蒼朮も可) 茯苓3~4 当帰3~4 芍薬3 地黄3~4 川芎3 桂皮3 甘草1~2
用法・用量 湯(原則として)
効能・効果 体力虚弱なものの次の諸症:病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血。

※本書は日本の漢方製剤(医療用・一般用・薬局製剤を含む)の基準となる一般用漢方処方をまとめたものです。本書収載の漢方処方は日本国内で漢方製剤として認可を得ることができます。本書の選から漏れた漢方処方であっても、生薬製剤などのカテゴリーで製剤化されているものがあります。

方剤学(普通高等教育中医薬類計画教材 上海科学技術出版社 1995年)

【組成】人参6g 肉桂(去粗皮)3g 川芎6g 地黄(洗、酒蒸、焙)12g 茯苓9g 白朮(焙)9g 甘草(炙)3g 黄耆(去蘆)12g 川当帰(洗、去蘆)9g 白芍薬9g
【用法】上を細末とする。毎回二大銭(9g)を、水一大盏を用い、生姜三片と大棗二個を加えて七割まで煎じ、時間にこだわらずに温服する。
【効用】温補気血。
【主治】気血不足、飲食減少、久病体虚、脚膝無力、面色萎黄、精神倦怠、瘡瘍不斂、婦女崩漏等。

【原典】太平恵民和剤局方
(陳承、裴宗元、陳師文ら;1107~1110年)

男性・女性の諸々の虚を治す。五労七傷、飲食が進まない、久病虚損、時に潮熱、氣攻骨脊、拘急疼痛、夜夢遺精、面色萎黄、脚膝無力、病後の未回復状態、憂愁思慮による気血失調、喘咳中満、脾腎気弱、五心煩悶などを治す。薬性は温にして熱でなく、平補して効あり、気を養い神を育み、醒脾止渇、正気を調え邪気を辟し、脾腎を温暖する。
人参 肉桂(去粗皮、不見火) 川芎 地黄(洗、酒蒸、焙) 茯苓(焙) 白朮(焙) 甘草(炙) 黄耆(去蘆) 川当帰(洗、去蘆) 白芍薬 各等分
上一十味、銼(やすり)粗末にする。毎回二大銭、水一大盏、生姜三片、棗子二個を加えて、七割まで煎じ、時間にこだわらずに温服する。