症状別漢方紹介

苓桂朮甘湯 りょうけいじゅつかんとう

利水作用のある茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)、体を温めて発汗や循環を促進する桂枝または桂皮、諸薬をまとめ、桂枝と相性の良い甘草(かんぞう)を含みます。めまいによく使われますが、胃や胸脇部に水毒がある状態を改善します。水毒が上昇し、めまいや眼疾患を引き起こすのを改善します。

参考書

 

新 一般用漢方処方の手引き((株)じほう;平成25年9月26日)

成分・分量 茯苓4~6 白朮2~4(蒼朮も可) 桂皮3~4 甘草2~3
効能・効果 体力中等度以下で、めまい、ふらつきがあり、ときにのぼせや動悸があるものの次の諸症:立ちくらみ、めまい、頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、神経症、神経過敏

※本書は日本の漢方製剤(医療用・一般用・薬局製剤を含む)の基準となる一般用漢方処方をまとめたものです。本書収載の漢方処方は日本国内で漢方製剤として認可を得ることができます。本書の選から漏れた漢方処方であっても、生薬製剤などのカテゴリーで製剤化されているものがあります。

 

【原典】傷寒論(張仲景;後漢)

傷寒、もしくは吐し、もしくは下して後、心下逆満し、気上って胸を衝き、起きてはすなわち頭眩す。脈沈緊、汗を発すれば則ち経を動かし、身振振として揺をなす者は苓桂朮甘湯これを主る。(傷寒論・太陽病中)

【原典】金匱要略(張仲景;後漢)

心下有痰飲脇支満目弦苓桂朮甘湯主之(金匱要略・痰飲欬嗽)

茯苓四両 桂枝三両去皮 白朮二両 甘草二両炙
右四味以水六升煮取三升去滓分温三服