症状別漢方紹介

便秘症の漢方薬《知って得する漢方13_’07.9》

どんな便秘でお悩みですか?

一口に便秘といっても、その状態は十人十色です。何日おきに便通があるのか?お腹の膨満感はあるか?放屁は多いか?便の状態は硬いか、それとも軟らかいか?そして便通以外の心身の状態はどのようであるか?このような観察のもと、最適の便秘薬を見つけなくてはなりません。

一般的には次のように分類されます。

  • 弛緩性便秘:腸管の弛緩→太め・硬めの便。
    腹痛は少ない。
    高齢者・多産婦・少食者・下剤連用者などに多い。
  • けいれん性便秘:腸管の異常運動→コロコロ便。
    腹痛は排便前にあり、排便により緩和する。
    若い年代に多い。
  • 直腸性便秘(習慣性便秘):直腸の排便反射障害→太め・分割便。
    時間の都合などで排便を抑えていたりすると好発。
  • 器質性便秘:腸の器質的病気(大腸がん・腸管の 癒着など)によるもの。

漢方における分類

  • 熱性の便秘:熱性疾患や酒・辛味の過食による。
    腹部にはり・痛みなどを伴い、時に顔面紅潮なども見られる。
  • 冷えの便秘:体が冷え、腸の機能が低下する。
  • 腸燥便秘:貧血や栄養不足により腸の潤いがなくなり、便が乾燥し、出にくくなる。
  • 気滞便秘:腹が張り、げっぷや放屁が多い。すっきり排便できない。
  • 気虚便秘:疲労倦怠があり、排便後は特にひどい。息切れなどを伴うこともある。

便秘症を治療する漢方薬

便秘の改善に最も多く使用される生薬は大黄(だいおう)です。大黄はまた、消炎や血流改善の作用があり、様々な疾患に用いられます。大黄のほかに以下のような生薬が頻用されます。
芒硝(ぼうしょう):鉱物性の生薬。便を軟化する。
厚朴(こうぼく):ホウノキの樹皮。腸の運動を改善。
枳実(きじつ):ダイダイの果実。腸の運動を改善。
麻子仁(ましにん):アサの果実。腸を潤す。
桃仁(とうにん):モモの種仁。腸を潤し、血流を改善。
芍薬(しゃくやく):シャクヤクの根で、腹痛や痙攣を治し、体を滋潤する。

  • 熱性の便秘には,大黄を中心とした便秘薬を用います。
  • 冷えの便秘には,体を温める漢方薬を基本として,適宜,通じをよくする漢方薬を併用します。
  • 腸燥便秘には,腸を潤しながらお通じをつける漢方薬を用います。
  • 気滞便秘には,気の流れをよくする漢方薬を基本とし,適宜,通じをよくする漢方薬を併用します。
  • 気虚便秘には,体力をつける漢方薬を基本とし,適宜,通じをよくする漢方薬を併用します。
  • その他,小児や妊婦では,穏やかな物が選ばれます。