症状別漢方紹介

疲れ目・かすみ目の漢方薬《知って得する漢方17_’08.1》

最近は仕事でもプライベートでもコンピュータの使用が日常的になったために,目のかわきや疲れを感じる方が大変多くいらっしゃいます。こういった目の酷使や,また加齢による目の機能失調は,なかなか原因を絶つことができませんので,完全に防ぐのは難しいことです。しかし漢方薬を服用することで,症状を緩和したり,進行を遅らせることができる場合もあります。このようなときに役立つ漢方薬をご紹介します。

『肝は目に竅(あな)を開く』

この言葉は,中国医学に伝わる五臓六腑と感覚器官との関係を表す言葉の1つで,肝の状況が目に現れやすいことを表現しています(下表参照)。

中国医学では,肝という臓器は血を蔵する部分で,その血で筋肉や神経を養い,各組織の運動や連係をスムーズにする役目を果たしていると認識しています。ですから貧血や筋肉の引きつり,自律神経失調性の症状などは,肝に原因を求めます。そして目は血管・筋肉・神経などの発達した感覚器官ですから,やはり肝との関わりが深いといえるでしょう。

五臓 主な働き 竅(あな)
血液を蓄える。自律神経系
血を全身に送る。こころ。
消化吸収。
呼吸活動。
生命力を蓄える。水分代謝。
成長・生殖・老化などに関与

目に良い漢方薬

上記の理論から,目に良い漢方薬は,肝に良い漢方薬となります。クコの実や菊の花は,肝を養ったり,機能を整える働きがあり,特に目に良いものとして漢方処方に頻用されます。また古来,目の失調は加齢によることが多かったので,生命力を蓄える腎を補う生薬を併用することが多く,肝・腎ともに補える杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)は,「飲む目薬」と呼ばれています。

さらに血行不良や胃腸虚弱など,他の要素がある場合には,それらの改善が結果的に目によい場合もあります。ですから,目の症状でお悩みの場合でも,全身の状況を総合的に考慮することが大切です。