症状別漢方紹介

排尿異常の漢方薬

排尿に関する自覚症状には、頻尿、出渋り、残尿感、排尿痛、失禁などがあります。原因は様々で、冷え、加齢、精神的緊張、尿道・膀胱炎などが考えられます。漢方薬の利用により良い効果が得られるケースも少なくありません。

膀胱炎は女性に多く、繰り返し発症するケースも少なくありません。冷えや疲労から免疫力が低下すると常在する大腸菌などが感染し発症します。

前立腺肥大は中年以降の男性に見られます。加齢に伴うもので、根本的治療は難しいのですが、現在様々な医薬品が開発されています。

その他、原因の特定ができない神経性の頻尿などもあります。いずれの場合も専門の泌尿器科で診察を受けられるべきでしょう。治療には、漢方薬もしばしば使用されますので、以下にご紹介致します。

  • 猪苓湯(ちょれいとう)
    尿の出が少なく、排尿痛や違和感があり、時に血尿が見られる場合に用いられます。口が渇いて水を飲む割に、尿量が少ない人に適します。膀胱炎、尿道炎などで使用されます。
  • 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
    この方剤も排尿痛などに用いられますが、炎症が強く、目の充血や、イライラなどを伴う場合に用いられます。胃腸虚弱の人や冷え症の人には使用できません。
  • 五苓散(ごれいさん)
    口の渇きと、尿量の減少が目安となります。水を飲みたがるのですが、あまりたくさんは飲めない場合で、水分の停滞が原因と考えられます。
  • 清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
    胃腸が弱く神経質の傾向の人の残尿感などに有効です。
  • 苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)
    腰から下が水の中に入っているように冷えて、水のように希薄な尿が多量にたびたび出る人に用います。腰痛を伴う場合が多く見られます。
  • 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
    子どもの夜尿症に多用されます。その他、疲労、精力減退、神経症、不眠症、遺精などに使用されます。
  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
    加齢に伴う排尿異常にもっとよく使用される方剤です。尿の出が悪い場合にも、頻尿の場合にも用いられます。排尿のほかにも、老化に伴う諸症状が様々に見られるのが特徴です。
  • 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
    八味地黄丸に、血液の巡りをよくする牛膝(ごしつ)と利尿作用のある車前子(しゃぜんし)を加えた処方です。

こちらにも→ 排尿障害の漢方薬