症状別漢方紹介

花粉症《NaturalLife10_’11.3》

杉花粉花粉症は,空気中を飛散する花粉が体内に入った時,その成分を察知した体が花粉を排除しようとする防衛反応です。花粉は本来,病原菌やウイルスのように人体に入り込んで増殖したり,悪さをするものではありません。しかし,一旦過剰な防衛反応をすることを覚えてしまった体は,忠実に花粉排斥活動を繰り返すことになってしまいます。いかなる植物の花粉が原因となるかは人によって異なりますが,スギやヒノキなど60種類以上の植物で花粉症の報告があるそうです。

防衛反応を過剰にしてしまう原因についてはいろいろな説があります。遺伝説,自動車の排ガスなどによる大気汚染説,医薬の発達や衛生環境の向上による免疫変化説,高気密住宅によるダニ・カビ温床説,ストレスや食品の欧米化による生活習慣説など。医薬・衛生の発達によるというのは,かつて大きな健康問題であった結核菌や寄生虫などに体が対応する必要性が減少したために,他の物への防衛反応が盛んになったという,何とも腑に落ちない説です。結局一つの原因を特定することはできません。人によって様々な原因が複合的に影響していると考えられるのです。

現在様々な治療法や対策グッズが提案されています。自分のライフスタイルや症状の軽重に合わせて選択する必要があるでしょう。漢方的な対処法を以下にご紹介します。

水っぽくて大量の鼻水やクシャミ,鼻づまりには小青竜湯(しょうせいりゅうとう)や麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)が有効です。目の痒みがある場合には,石膏(せっこう)や・金銀花(きんぎんか)といった炎症を抑える生薬を加えます。体質改善では免疫力を改善する生薬として黄耆(おうぎ)や柴胡(さいこ)などが有名です。体全体のバランスを良くしていくことで,過敏な体質の改善をめざします。体質は急には変わりませんので,養生にも留意しながら,根気よく続けることが大切です。