症状別漢方紹介

血行改善の漢方薬《知って得する漢方6_’07.2》

テレビや雑誌では,しばしば“ドロドロ血”“サラサラ血”という表現で血行の良し悪しが取り上げられます。また話題のメタボリックシンドロームも動脈硬化に直結する問題として注目されています。血行の悪さは血液検査での脂質や血圧の値などで意識される方もおられるでしょうし,冷えや肩こりなどで自覚される方もいらっしゃると思います。漢方では流れの悪くなった血を瘀血(おけつ)と呼び,その三大症状として『痛み・黒ずみ・しこり』が挙げられます。頭痛や関節痛に代表される“痛み”,目の下のクマや舌の裏に浮き出る静脈などの“黒ずみ”,腫瘍や痔核などの“しこり”です。これら瘀血を改善する漢方薬は,活血薬(かっけつやく)と呼ばれ,様々なものが知られています。

代表的な活血薬(かっけつやく)

冠元顆粒(かんげんかりゅう):中年以降または高血圧傾向の方の頭痛、頭重、めまい、動悸などに使用。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):主に婦人科系の瘀血に多用される実証タイプの活血薬。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):貧血傾向やむくみを伴う虚証向きの活血薬。

疎経活血湯(そけいかっけつとう):手足のしびれや関節の痛みを伴うときに使用。

このほかにもたくさんの方剤がありますが,実は瘀血の改善は決して単純なものではなく,これらの漢方薬を服用しさえすればよいというわけにはいかないのです。

漢方では,身体は『気・血・水』からできているという考え方があります。『気』は生理機能や精神活動を担い,『血』は体内の栄養運搬,『水』は各種水分です。単に血行がよくなるといわれるものを摂取していても,『気・血・水』のバランスが考慮されていないと,うまく効果は発揮されないのです。胃腸の具合や,精神的ストレスのこと,お小水のことなどもうかがいながら全身のバランスを考慮したうえで,漢方薬を選択しなくてはなりません。

※実際に漢方薬を服用する場合は,専門家とよくご相談下さい。