症状別漢方紹介

花粉症の漢方薬《知って得する漢方7_’07.3》

花粉症の漢方薬
繰り返されるクシャミ・とめどない鼻みず・強烈な目の痒み・・・毎年のつらい症状にお悩みの方も少なくありません。さらに集中力も遮られ,何かと困ったものです。

罹患者数が年々増加するのには,環境の変化や花粉量の増大などが言われる一方で,精神的ストレスや肉食の増加,運動不足などによる体質の変化にも注意が必要と考えられます。

さて,花粉症の漢方治療は,症状を緩和させる対症療法と,過敏な状態になっている体質を改善する方法に大別されます。

対症療法

花粉症に特徴的な水っぽくて大量の鼻水やクシャミ,鼻づまりに有効な漢方薬は小青竜湯(しょうせいりゅうとう)です。目の痒みがある場合には,さらに石膏(せっこう)・金銀花(きんぎんか)・連翹(れんぎょう)といった炎症を抑える生薬を加えます。また,鼻水が黄色であったり,咽の痒み・痛みを伴う場合には,炎症を抑える生薬を中心とした銀翹散(ぎんぎょうさん)や越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)などが用いられます。

※これらの漢方薬は胃腸の弱い方や血圧の高い方など,体質により使用に注意を要する場合がありますので,必ず専門家と相談をした上でお選びください。

体質改善

体質改善では一人ひとりの体のバランスをよくしていくことを目標とします。生活習慣の見直しも大切です。花粉症で多いのは水分代謝が悪い状態で,そのほか冷え症やストレスの多いケースなどもみられます。水分代謝を向上させ,免疫力を改善する生薬として黄耆(おうぎ)が有名です。黄耆を含む処方には,玉屏風散(ぎょくへいふうさん)や補中益気湯(ほちゅうえっきとう),防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)などがあります。冷え症やストレスの改善にも多くの方剤が考えられます。

※対症療法の漢方薬と体質改善の漢方薬は状況によって適宜組み合わせて使用するとより効果的です。