症状別漢方紹介

高脂血症の漢方薬《知って得する漢方20_’08.4》

高脂血症とは血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が多くなりすぎる病気です。動脈硬化の原因となり,さらには心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす恐れがあります。治療の基本は食事の改善と運動です。どうしても生活習慣が改善できない人や,生活習慣を改善しても血中脂質の数字が高いまま下がらない場合,病院では血中脂質を下げさせるお薬が処方されます。コレステロールや中性脂肪の生成を抑制する薬,排泄を促進する薬,血液を固まりにくくする薬などが選択されます。

漢方での考え方

漢方で使われる生薬や処方の中にも,科学的な試験によって血中の脂質を下げる作用を有することが報告されているものがあります。ただし,漢方薬はあくまで自覚症状や体質を観察して選択しなくてはなりません。漢方的な観点から体調のアンバランスを改善していくことが,様々な異常値を正常化していく上で有利であると考えるためです。

漢方薬は,よく医師や薬剤師とご相談いただければ,基本である食事の改善や運動を補佐する目的で平行して利用することもできますし,病院のお薬と併用されることもあります。

代表的な漢方薬

漢方では,体の水分代謝や血流の状態,胃腸の具合,冷えや火照りの状況,ストレスの多少など様々なことを考慮します。体質を無視して使用しますと,効果的でないばかりか,下痢や腹痛などの副作用が生じることもございますので,よく専門家とご相談の上,ご利用下さい。

  • 大柴胡湯(だいさいことう):イライラしやすく,血圧高め,肩こり,便秘症などの体質に。
  • 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん):太鼓腹で火照りやすく便秘症などの体質に。
  • 温胆湯(うんたんとう):胃腸が弱く,口が粘る,吐き気,胸腹部の不快感などを伴う場合。
  • 冠元顆粒(かんげんかりゅう):血行不良に伴う高血圧,頭痛,肩こりなどの体質に。
  • 六味地黄丸(ろくみじおうがん):加齢や過労などにより足腰のだるさ,倦怠感が強い場合など。

そのほか様々な処方が選択肢となります。また,何首烏(かしゅう),沢瀉(たくしゃ),山査子(さんざし),丹参(たんじん)などの生薬で,血中脂質降下作用の研究が進んでおり,状況に応じて利用されます。