脳・神経・精神etcの漢方老化に伴う諸症状の漢方
物忘れ対策《NaturalLife60_’15.12》
人の名前が出てこない,何をするために移動したのか忘れてしまう・・・。日常よくあることです。しかし頻繁にそういったことが起こると心配になりますね。記憶障害が著しく,生活に支障が出る認知症は,増加傾向にあり,社会的にもその対策が急務となっています。
認知症には到っていなくとも,年相応を超えた記憶障害が認められる状態は軽度認知障害と呼ばれます。この段階での対応がうまくいけば,認知症には到らず,場合によっては正常に戻ることが報告されています。
物事を考えたり,記憶するとき,脳内では様々な神経細胞が協力して複雑なネットワークを構築していることが確認されています。ところが軽度認知障害の人では,この脳内ネットワークが作られにくくなっており,認知症患者ではさらに希薄になっているとのことです。
対策として様々な方法が研究されています。運動や食事といった生活習慣に加え,記憶ゲームなどの頭の体操,血圧や中性脂肪などの管理が大切といわれています。運動では脈拍が毎分120程度の運動を1日30分ほど行うと良いという報告があり,例として歩幅を5cmほど広くすることを意識した早歩きなどが挙げられます。また食事は野菜や魚を中心としたものが良いとされています。
脳内ネットワークを活性化する新薬の模索も行われており,5~6年後の実用化が見込まれています。
漢方薬では,帰脾湯(きひとう)という処方に健忘に対する効果があるといわれてきました。帰脾湯は体力の低下や貧血,それに伴う不安感,落ち込み,不眠などが目標になります。また出血しやすい体質にも用いられます。
数年前には抑肝散(よくかんさん)に認知症に対する効果があるとの報道があり,使用頻度が非常に高まっています。抑肝散は本来,子供の夜泣きのような,神経の興奮に対して用いられます。認知症においても暴力や暴言,協調性の欠如などを伴うことがあり,そのような症状に対しては一定の効果が期待できます。
脳内ネットワークの異変には,脳内の血行不良による微小出血が大きく関わると考えられています。血行不良は生活習慣やストレス,もともとの体質や病歴などが原因です。それらを考慮して総合的に対応することが重要です。漢方薬も上述の二種に拘泥せず,状況に合わせた選択がより有効と考えます。
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研究報告・講演等
翻訳
- 小児疾患と湿熱の関係
(中医臨床第107号2006年12月20日 「略論湿熱在中医児科発病学上的意義」浙江省中医薬研究院 王英) - 卵管閉塞による不妊36例に対する中西医結合治療
(中医臨床第105号2006年6月20日 「中西医結合治療輸卵管阻塞性不妊症36例臨床観察」 劉軍) - 加味玉屏風湯による抗精子抗体陽性の女性患者57例の治療
(中医臨床第105号2006年6月20日 「加味玉屏風湯治療女性抗精子抗体陽性57例」広東省仏山市第一人民病院 謝普練 韓慧) - 解表剤運用の心得
(中医臨床第103号2005年12月20日 「解表剤運用心法」北京中医薬大学薬学系 倪誠) - 中医による難治性眼疾患の治療効果
(中医臨床第102号2005年9月20日 「中医薬治療疑難眼病的療効簡介」中国中医研究院眼科医院) - 眼科領域における退翳明目法の応用
(中医臨床第102号2005年9月20日 「退翳明目在眼科的応用」山東中医薬大学付属医院眼科 郭承偉) - 「明珠飲」による内眼疾患の治療
(中医臨床第102号2005年9月20日 「中薬明珠飲治療内眼病挙隅」上海中医薬大学付属曙光医院眼科 潘雅?) - 名医の処方-疏肝解鬱益陰湯
(中医臨床第102号2005年9月20日 「疏肝解鬱益陰湯」河北省人民医院眼科 ?賛襄) - 明目地黄丸および益精昇陰法
(中医臨床第102号2005年9月20日 「明目地黄丸考証及応用-兼論益精昇陰法(二)」中国中医研究院眼科医院 高健生他) - 眼疾患に有用な方剤/石斛夜行丸方
(中医臨床第102号2005年9月20日 「試析石斛夜光丸方」北京中医薬大学東直門医院眼科 祁宝玉他) - 眼科領域における細辛の臨床応用
(中医臨床第102号2005年9月20日 「細辛在眼科臨床的応用」湖北省襄樊職業技術学院医学分院 汪碧涛) - 慢性前立腺炎の治療
(中医臨床第101号2005年6月20日 「中西医結合治療慢性前立腺炎的思路与方法」福建中医学院 戴春福) - 益気養陰清熱法を併用した急性骨髄性白血病の治療中医臨床
(中医臨床第100号2005年3月20日 「益気養陰清熱法輔助治療急性髄系白血病臨床療効観察」山東中医薬大学付属医院 徐瑞栄他) - 糖尿病性腎症の4大病機
(中医臨床第99号2005年3月20日 「糖尿病腎病腎小球硬化症的中医病機探討」上海中医薬大学付属龍華医院 劉玉寧) - 「気」の中医的概念と理気の方薬
(中医臨床第93号2003年6月20日 「緒論:中医的『気』与理気方薬」北京中医薬大学 王琦) - 「辛開苦降」の意味
(中医臨床第92号2003年3月20日 「辛開苦降」河北省浹水県医院中医科 劉興武) - 「風薬治血」-風薬による血病治療
(中医臨床第91号2002年12月20日 「風薬治血探微」瀘州医学院付属中医院 鄭国慶) - 老中医たちがもっとも得意とする生薬…それが黄耆
(中医臨床第89号2002年6月20日 南京中医薬大学 黄煌) - 補陽還五湯の応用
(中医臨床第89号2002年6月20日 「補陽還五湯治験2則」江蘇省常熟市中医院 李葆華) - 黄耆の運用経験
(中医臨床第89号2002年6月20日 「黄耆的応用体会」南京中医薬大学 孟景春) - 黄耆の医案3例
(中医臨床第89号2002年6月20日 「黄耆医案3則」南京中医薬大学 黄煌) - 防已黄耆湯の解釈と臨床応用
(中医臨床第89号2002年6月20日 「防已黄耆湯」南京中医薬大学 蒋明・張国鐸) - 応用範囲の広い温胆湯
(中医臨床第88号2002年3月20日 「温胆湯的臨床応用」江蘇省連雲港市中医院 趙化南) - 温胆湯の症例報告
(中医臨床第88号2002年3月20日 「温胆湯的症例報告」南京医科大学付属淮安第一医院 李樹年)
他
東洋学術出版社『中医臨床』
薬剤師・薬学修士・国際中医専門員
毛塚 重行Shigeyuki Kezuka
- 学歴
- 東京薬科大学薬学部薬学科卒業
金沢大学大学院薬学研究科(薬用植物園)修士課程修了
南京中医薬大学留学(2000~2002) - 職歴
- 吉祥寺東西薬局勤務(1996~2000)br毛塚薬局勤務(2002~2005)brさくら堂漢方薬局開設・ 運営(2005〜)br国際医療福祉大学薬学部非常勤講師(2020~2024)
獨協医科大学看護学部非常勤講師(2025〜 ) - 所属
- 日本中医薬学会
日本東洋医学会
日本中医薬研究会
栃木中医薬研究会
東亜医学協会
日本漢方連盟
日本薬剤師会
