症状別漢方紹介

ニキビ(尋常性痤瘡)の漢方薬

ニキビ

皮膚科では尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)とよばれます。10代~30代の若い方に多く見られます。顔面部に多く、胸部や背部にも見られることがあります。

尋常性痤瘡は皮脂の分泌が盛んなところに生じ、丘疹や膿を持った膿疱となります。痛みやかゆみを伴うこともあります。

ニキビの原因

原因として考えられるものには次のようなものがあります。
思春期で男性ホルモンのテストテスロンの分泌増加による皮脂の分泌増加
毛穴の奥の角化や、皮脂の貯留
毛穴奥の常在菌であるアクネ桿菌などが引き起こす炎症
バランスの悪い食事や夜更かし、ストレス
石けんや化粧品などによる刺激

ニキビの治療

皮膚科では抗生物質の内服やローション剤の外用、毛穴奥の各科を防ぐ外用剤などが用いられます。

漢方薬治療

清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)や荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)などが有名です。
この前の2方剤は消炎に優れた生薬を含んでおり、消炎や排膿の働きがあり、皮膚炎や鼻炎などに応用されます。とくに清上防風湯は体の上部、顔面部の炎症やのぼせに使用されます。荊芥連翹湯は比較的全身の炎症や化膿、乾燥などに用いられます。

十味敗毒湯は桜皮(桜の樹皮)という生薬を含んでいます。この桜皮に含まれるポリフェノール成分は、皮膚の炎症付近で免疫細胞を活発にしてアクネ菌などに対する抗菌・殺菌作用を高めます。さらにこの成分は女性ホルモン様作用があり、男性ホルモンの働きを抑えて皮脂の分泌を抑制するといわれています。女性ホルモン用作用のため、月経周期に伴うニキビには十味敗毒湯がしばしば選択されます。

月経疹

月経疹の場合、より積極的に月経の調子を整えることでニキビを治りやすくなる場合があります。その場合には婦人科でよく用いられる加味逍遙散(かみしょうようさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが多用されます。

便秘症の方では

また、皮膚と大腸の調子は非常に関わりがあるといえます。とくに便秘症の方は、熱や老廃物がこもりやすく、湿疹などの症状が出やすいと考えられます。ですから便秘等の腸の症状がある場合は、その治療も同時に検討しましょう。

ニキビ跡

ニキビの跡が赤~紫、そして黒っぽく残ってしまう場合があります。この場合は血流を改善することで対処します。

生活養生

原因として書いたとおり、食事や寝起き、ストレスなども発症あるいは悪化の原因になります。ですから問題があれば改善をしていくことが治癒にとっても大切です。食事では野菜を十分にとり、脂肪や糖質を控えます。規則正しい生活リズムは自律神経のバランスを整える上で重要です。

以上の様に、一人一人症状も、原因も、体質も異なりますので、状況にあった対応を検討する必要があります。