消化器・口の漢方
下痢・軟便の 漢方薬《知って得する漢方34_’09.6》
一時的で軽い下痢や軟便は,さほど問題にはなりませんが,急性の激しい下痢や慢性に続く軟便・下痢では,治療や養生が必要です。脱水症状にも気を付けなければなりません。
下痢便は軟らかさや水分量から,泥状・粥状・水様便などと表現され,ときに便中に粘液・膿・血液が混ざることもあります。また,吐き気や腹痛,脱力感を伴うこともあります。
下痢や軟便を引きおこす原因も様々で,食中毒や食べ過ぎ・飲み過ぎ,腹部の冷え,胃腸虚弱,免疫系の問題,薬の副作用などによるものや神経性の下痢などが挙げられます。
急性の下痢・軟便の漢方薬
急性の下痢は,身体が不必要なものを外へ出そうとする反応で,無理に下痢を止めない方が良い場合があります。
食あたりの場合は,殺菌・静菌作用を持つ黄連(おうれん)や黄柏(おうばく)といった薬草が用いられます。これらは苦味健胃薬とも呼ばれ,昔から民間薬としても汎用されてきました。吐き気を伴う時はカラスビシャクの地下茎である半夏(はんげ)や生姜(しょうきょう)などを用います
お腹に来る風邪や旅行先での水あたりなどには,ハーブのパチョリという名でも知られる藿香(かっこう)や紫蘇の葉が多用されます。これらを含む藿香正気散(かっこうしょうきさん)という漢方処方は,日本でも中国でも製剤化され,旅先に携帯するにも便利です。
寝冷えなど,お腹を冷やした場合には,生姜や朝鮮人参が有効です。
慢性の下痢・軟便の漢方薬
胃腸虚弱で,食が細く,やせ気味で,腹痛などはあまりない場合は,朝鮮人参やヤマイモ,蓮の実などの滋養薬となるものや,白朮(びゃくじゅつ),茯苓(ぶくりょう)といった水分代謝を改善する生薬を用います。
冷え性の体質では,朝鮮人参や生姜,トリカブトの根を減毒した附子(ぶし)などを用います。
神経性の下痢や腹痛では,筋肉や神経の緊張をほぐすシャクヤクの根や,気の巡りを改善するといわれる薬草を用います。「気の巡りを改善する」作用は,しばしば「自律神経のバランスを整える」という表現に置き換えられ,シソ科やセリ科,ミカン科などに属する香りの良い薬草が多用されます。
執筆者情報

研究報告・講演等
翻訳
- 小児疾患と湿熱の関係
(中医臨床第107号2006年12月20日 「略論湿熱在中医児科発病学上的意義」浙江省中医薬研究院 王英) - 卵管閉塞による不妊36例に対する中西医結合治療
(中医臨床第105号2006年6月20日 「中西医結合治療輸卵管阻塞性不妊症36例臨床観察」 劉軍) - 加味玉屏風湯による抗精子抗体陽性の女性患者57例の治療
(中医臨床第105号2006年6月20日 「加味玉屏風湯治療女性抗精子抗体陽性57例」広東省仏山市第一人民病院 謝普練 韓慧) - 解表剤運用の心得
(中医臨床第103号2005年12月20日 「解表剤運用心法」北京中医薬大学薬学系 倪誠) - 中医による難治性眼疾患の治療効果
(中医臨床第102号2005年9月20日 「中医薬治療疑難眼病的療効簡介」中国中医研究院眼科医院) - 眼科領域における退翳明目法の応用
(中医臨床第102号2005年9月20日 「退翳明目在眼科的応用」山東中医薬大学付属医院眼科 郭承偉) - 「明珠飲」による内眼疾患の治療
(中医臨床第102号2005年9月20日 「中薬明珠飲治療内眼病挙隅」上海中医薬大学付属曙光医院眼科 潘雅?) - 名医の処方-疏肝解鬱益陰湯
(中医臨床第102号2005年9月20日 「疏肝解鬱益陰湯」河北省人民医院眼科 ?賛襄) - 明目地黄丸および益精昇陰法
(中医臨床第102号2005年9月20日 「明目地黄丸考証及応用-兼論益精昇陰法(二)」中国中医研究院眼科医院 高健生他) - 眼疾患に有用な方剤/石斛夜行丸方
(中医臨床第102号2005年9月20日 「試析石斛夜光丸方」北京中医薬大学東直門医院眼科 祁宝玉他) - 眼科領域における細辛の臨床応用
(中医臨床第102号2005年9月20日 「細辛在眼科臨床的応用」湖北省襄樊職業技術学院医学分院 汪碧涛) - 慢性前立腺炎の治療
(中医臨床第101号2005年6月20日 「中西医結合治療慢性前立腺炎的思路与方法」福建中医学院 戴春福) - 益気養陰清熱法を併用した急性骨髄性白血病の治療中医臨床
(中医臨床第100号2005年3月20日 「益気養陰清熱法輔助治療急性髄系白血病臨床療効観察」山東中医薬大学付属医院 徐瑞栄他) - 糖尿病性腎症の4大病機
(中医臨床第99号2005年3月20日 「糖尿病腎病腎小球硬化症的中医病機探討」上海中医薬大学付属龍華医院 劉玉寧) - 「気」の中医的概念と理気の方薬
(中医臨床第93号2003年6月20日 「緒論:中医的『気』与理気方薬」北京中医薬大学 王琦) - 「辛開苦降」の意味
(中医臨床第92号2003年3月20日 「辛開苦降」河北省浹水県医院中医科 劉興武) - 「風薬治血」-風薬による血病治療
(中医臨床第91号2002年12月20日 「風薬治血探微」瀘州医学院付属中医院 鄭国慶) - 老中医たちがもっとも得意とする生薬…それが黄耆
(中医臨床第89号2002年6月20日 南京中医薬大学 黄煌) - 補陽還五湯の応用
(中医臨床第89号2002年6月20日 「補陽還五湯治験2則」江蘇省常熟市中医院 李葆華) - 黄耆の運用経験
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(中医臨床第88号2002年3月20日 「温胆湯的臨床応用」江蘇省連雲港市中医院 趙化南) - 温胆湯の症例報告
(中医臨床第88号2002年3月20日 「温胆湯的症例報告」南京医科大学付属淮安第一医院 李樹年)
他
東洋学術出版社『中医臨床』
薬剤師・薬学修士・国際中医専門員
毛塚 重行Shigeyuki Kezuka
- 学歴
- 東京薬科大学薬学部薬学科卒業
金沢大学大学院薬学研究科(薬用植物園)修士課程修了
南京中医薬大学留学(2000~2002) - 職歴
- 吉祥寺東西薬局勤務(1996~2000)
毛塚薬局勤務(2002~2005)
さくら堂漢方薬局開設・ 運営(2005〜)
国際医療福祉大学薬学部非常勤講師(2020~2024)
獨協医科大学看護学部非常勤講師(2025〜 ) - 所属
- 日本中医薬学会
日本東洋医学会
日本中医薬研究会
栃木中医薬研究会
東亜医学協会
日本漢方連盟
日本薬剤師会
