漢方日記

身近な薬草の話《知って得する漢方38_’09.10》

薬草とは薬効を有する植物を広く指す言葉で,漢方生薬,民間薬,健康茶などが含まれます。これら薬草の中には,私たちの普段の食事で頻繁に登場するものがあったり,あるいは花壇や野原を彩るもの,さらには雑草扱いされるものまであります。

台所の薬草

食物はそれぞれ体の中で様々な役割を果たしていますが,とくに薬用利用の頻度が高いものを挙げますと,まずショウガがあります。漢方では生姜(しょうきょう)と呼び,体を温めたり,吐き気を抑えるなどの目的で多用されます。

ヤマイモには滋養強壮,うるち米には胃腸強化,小豆には利水,小麦には鎮静などの働きがあるとされています。また,シソネギラッキョウ辛子などの香辛食材は発汗・血行・去痰などを促進します。

秋の味覚では,菊の花は目の疾患に多用され,銀杏は咳に使用することがあります。柿は“ヘタ”の部分を上手に使ってシャックリ止めです。

庭の薬草

タンポポの根には消炎作用があり,乳腺炎などに利用されます。また,スミレレンギョウの実クチナシの実にも消炎作用があります。シャクヤクボタンは婦人科では欠かせない重要な薬草です。

少し高い木になりますと,の樹皮は解毒に,の種仁は血行改善にそれぞれ利用され,杏仁豆腐の原料となるアンズの種仁は喘息に多用されます。

雑草?

 どの植物が雑草の範疇に入るかは,人によって意見が異なると思いますが,本欄では私の印象でご紹介します。

まずドクダミです。解毒や通便の薬草として有名です。生命力が強く,独特の悪臭を発するため,はびこると厄介です。

生命力が強いという点ではスベリヒユ(右写真)という植物も同様で,消炎や利尿に利用されます。西洋ではハーブの1種でもあり,世界的に食用にする地域も少なくありません。

まだまだ身近な薬草は存在します。身近な分,利用しやすいと言えますが,実際に何らかの症状に使用したい場合は,専門家にご相談下さい。