漢方日記

菊の花の利用 いろいろ

 秋の味覚である菊の花。酢の物で食べる機会が多いのですが、食用菊の産地である東北・新潟地方では、さらに漬け物や和菓子の材料にしたり、焼酎に入れて少量の砂糖を加えた「菊酒」を作るなどして楽しむそうです。

 中国では乾燥した菊の花にお湯を注いでお茶としたり、緑茶に混ぜて味わう習慣があります。中国の高級緑茶「龍井茶(ロンジンチャ)」の産地である杭州は、菊の花の産地としても有名です。「杭菊花(こうきくか)」と称される当地の菊の花は、花茶に供されるだけでなく、薬用としても重用される名花です。

 中国の職場などでは、インスタントコーヒーなどの空き瓶に茶葉を入れ、お湯を一杯に注いでおき、咽が渇いてはそこから二口三口とすすり飲みます。私にとって中国の初めての訪問地である杭州では茶葉の代わりに菊の花で同様に楽しむ人が多く、とても印象的でした。

 薬としての菊花は目の疾患に多用されます。炎症を鎮めたり、機能をスムーズにする作用があると言われ、目の疾患の他、感冒や高血圧にともなうのぼせ・頭痛・めまいなどにも応用されます。