漢方日記

不妊症治療の漢方薬《知って得する漢方3_’06.11》

漢方薬による治療では,不妊症といっても特別なことをするわけではありません。冷えを取り除いたり,血行を改善したり,胃腸を丈夫にするなど,本来の体のバランスを取り戻すことが基本です。そうしながら月経を順調にし,より妊娠しやすい体づくりを目差します。その基本に則った上で,周期療法という漢方薬の服用法が注目されていますので,後半で簡単にご紹介します。

女性の体質改善に優れる生薬 『当帰(とうき)』

女性特有の体の不調としては,月経に伴う諸々があります。その改善に最も使われる生薬が当帰です。当帰はセリ科の植物で,根を薬用とし,独特の香りと甘味があります。体が冷えやすく,貧血様の症状を持つ人の月経不順や更年期障害,そして不妊症,妊婦の貧血,流産防止などに適応します。このような薬効から当帰は「女性の宝」とも言われ,また懐妊を望む女性の夫へ対する「当に帰るべし」という思いが込められた名称であるという言い伝えが残っています。

漢方薬による周期療法とは?

周期というのは月経周期のことで,月経期,低温期(卵胞発育期),排卵期,高温期(黄体期)の4つの段階に分けて観察し,それぞれの時期にあった漢方薬を選択して服用していくのが周期療法です。時期の変化は基礎体温に反映されます。これは自分でできる体調チェックですね。それぞれの時期をより良い状態にして,また段階の移行をスムーズにすることで,より妊娠しやすい体内環境を目差します。
月経周期が不順な場合は,まず月経を整えることが優先されます。その際,先月お話ししました月経不順の漢方薬を利用するのも大変有効です。