漢方の考え方
「五臓六腑」のお話《知って得する漢方45_’10.5》
「五臓六腑にしみわたる」という表現がありますが,この五臓とはどの臓器を指しているでしょうか?・・・こんな問題がクイズ番組で出題されていました。答えは肝・心・脾・肺・腎の各臓です。それでは六腑はどうでしょう。胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦の六つの腑が六腑となります。三焦(さんしょう)は中国医学に独特な臓腑であり,西洋医学のどの臓腑に相当するかについては定説がありません。漢方の源流,古代中国の医療のなかで想定されたものと言えます。想定されたというと非科学的で信用できないと思われるかもしれませんが,医療に於いて大切なことは治療効果を出すことですから,その想定にもとづいて鍼灸や薬草が用いられ,再現性のある治療効果がもたらされるとすれば大変重要な意味を持つのです。 五臓六腑という表現は二千年も前の文献にすでに登場します。三焦以外の臓腑の名は西洋医学でも使用されることとなりますが,それぞれの臓腑がどのような働きをするのかということについては,東西両医学の間で必ずしも一致していません。しかし一致させることに意味はありません。漢方薬は漢方の概念で使用してこそ,効果が発揮されるためです。
漢方では,臓腑個々の働きに加え,その関連性も重視され,やはり独特な考え方があります。その基本の一つに,詳細な自然観察をもとに築かれた五行説という概念があります。万物は木・火・土・金・水の五元素から成るという考え方です。
木は伸びやかさ,春の象徴であり,神経や筋肉の働きをつかさどる肝は木の要素に属します。木が燃えると火が生まれます。火は活動,燃焼,夏の象徴です。絶えず血液を全身に送り,緊張時にはその働きを盛んにする心は火に属します。木から火が生まれるように,肝と心は母子関係にあると言えます。燃えた後には土が残り,土は万物の母であり,季節の変わり目(土用)の象徴とされます。食物から栄養素を吸収する臓器とされる脾は土に属します。土中から生じる金(金属)は物の変革・精錬を意味し,秋の象徴とされます。清い空気と濁気の交換をする肺が金に属します。鉱山から生じる水脈は,物を滋潤し,木を成長させます。水分代謝をつかさどり,また成長のエネルギーたる精(せい)を貯蔵する腎は水に属します。
六腑は五臓に協力して生理活動を支えます。腑とは中空の器官で,実質的な臓とは形体を異にします。さらに,脳や髄,骨,脈管,子宮などは臓とも腑とも異なる特別な内臓とされます。
図:『類経図翼』内景図
明・張景岳(1563-1640年)著
執筆者情報

研究報告・講演等
翻訳
- 小児疾患と湿熱の関係
(中医臨床第107号2006年12月20日 「略論湿熱在中医児科発病学上的意義」浙江省中医薬研究院 王英) - 卵管閉塞による不妊36例に対する中西医結合治療
(中医臨床第105号2006年6月20日 「中西医結合治療輸卵管阻塞性不妊症36例臨床観察」 劉軍) - 加味玉屏風湯による抗精子抗体陽性の女性患者57例の治療
(中医臨床第105号2006年6月20日 「加味玉屏風湯治療女性抗精子抗体陽性57例」広東省仏山市第一人民病院 謝普練 韓慧) - 解表剤運用の心得
(中医臨床第103号2005年12月20日 「解表剤運用心法」北京中医薬大学薬学系 倪誠) - 中医による難治性眼疾患の治療効果
(中医臨床第102号2005年9月20日 「中医薬治療疑難眼病的療効簡介」中国中医研究院眼科医院) - 眼科領域における退翳明目法の応用
(中医臨床第102号2005年9月20日 「退翳明目在眼科的応用」山東中医薬大学付属医院眼科 郭承偉) - 「明珠飲」による内眼疾患の治療
(中医臨床第102号2005年9月20日 「中薬明珠飲治療内眼病挙隅」上海中医薬大学付属曙光医院眼科 潘雅?) - 名医の処方-疏肝解鬱益陰湯
(中医臨床第102号2005年9月20日 「疏肝解鬱益陰湯」河北省人民医院眼科 ?賛襄) - 明目地黄丸および益精昇陰法
(中医臨床第102号2005年9月20日 「明目地黄丸考証及応用-兼論益精昇陰法(二)」中国中医研究院眼科医院 高健生他) - 眼疾患に有用な方剤/石斛夜行丸方
(中医臨床第102号2005年9月20日 「試析石斛夜光丸方」北京中医薬大学東直門医院眼科 祁宝玉他) - 眼科領域における細辛の臨床応用
(中医臨床第102号2005年9月20日 「細辛在眼科臨床的応用」湖北省襄樊職業技術学院医学分院 汪碧涛) - 慢性前立腺炎の治療
(中医臨床第101号2005年6月20日 「中西医結合治療慢性前立腺炎的思路与方法」福建中医学院 戴春福) - 益気養陰清熱法を併用した急性骨髄性白血病の治療中医臨床
(中医臨床第100号2005年3月20日 「益気養陰清熱法輔助治療急性髄系白血病臨床療効観察」山東中医薬大学付属医院 徐瑞栄他) - 糖尿病性腎症の4大病機
(中医臨床第99号2005年3月20日 「糖尿病腎病腎小球硬化症的中医病機探討」上海中医薬大学付属龍華医院 劉玉寧) - 「気」の中医的概念と理気の方薬
(中医臨床第93号2003年6月20日 「緒論:中医的『気』与理気方薬」北京中医薬大学 王琦) - 「辛開苦降」の意味
(中医臨床第92号2003年3月20日 「辛開苦降」河北省浹水県医院中医科 劉興武) - 「風薬治血」-風薬による血病治療
(中医臨床第91号2002年12月20日 「風薬治血探微」瀘州医学院付属中医院 鄭国慶) - 老中医たちがもっとも得意とする生薬…それが黄耆
(中医臨床第89号2002年6月20日 南京中医薬大学 黄煌) - 補陽還五湯の応用
(中医臨床第89号2002年6月20日 「補陽還五湯治験2則」江蘇省常熟市中医院 李葆華) - 黄耆の運用経験
(中医臨床第89号2002年6月20日 「黄耆的応用体会」南京中医薬大学 孟景春) - 黄耆の医案3例
(中医臨床第89号2002年6月20日 「黄耆医案3則」南京中医薬大学 黄煌) - 防已黄耆湯の解釈と臨床応用
(中医臨床第89号2002年6月20日 「防已黄耆湯」南京中医薬大学 蒋明・張国鐸) - 応用範囲の広い温胆湯
(中医臨床第88号2002年3月20日 「温胆湯的臨床応用」江蘇省連雲港市中医院 趙化南) - 温胆湯の症例報告
(中医臨床第88号2002年3月20日 「温胆湯的症例報告」南京医科大学付属淮安第一医院 李樹年)
他
東洋学術出版社『中医臨床』
薬剤師・薬学修士・国際中医専門員
毛塚 重行Shigeyuki Kezuka
- 学歴
- 東京薬科大学薬学部薬学科卒業
金沢大学大学院薬学研究科(薬用植物園)修士課程修了
南京中医薬大学留学(2000~2002) - 職歴
- 吉祥寺東西薬局勤務(1996~2000)
毛塚薬局勤務(2002~2005)
さくら堂漢方薬局開設・ 運営(2005〜)
国際医療福祉大学薬学部非常勤講師(2020~2024)
獨協医科大学看護学部非常勤講師(2025〜 ) - 所属
- 日本中医薬学会
日本東洋医学会
日本中医薬研究会
栃木中医薬研究会
東亜医学協会
日本漢方連盟
日本薬剤師会
