漢方の生薬
心身を持ち上げる薬草《NaturalLife45_’14.7》
薬草の体に対する作用には方向性を見出すことができます。たとえば汗をかかせるのは外向きの方向性、出血しやすいのを防ぐのは内向きの方向性、排便を促すのは下向きの方向性といった具合です。そして今回お話したいのは上向きの方向性についてです。
暑い日が続いて体がだるい、いわゆる夏バテのときの治療方法の一つにこの上向きの作用を利用することがあるのです。
薬草の方向性を利用するということは、もともと反対向きの症状が存在します。上向きの作用を利用する場合には下向きの症状があるわけです。その下向きの症状には、体が重い、気分が落ち込んでいる、やる気がわかない、下痢しやすい、内臓下垂、脱肛といったことが挙げられます。元々、気力・体力が低下している情況で見られます。過労や加齢に起因することが多く、決して夏場に限った話ではありませんが、多くの人が“バテ”を感じる夏にはこの考え方を利用する機会が増えます。
この上向きの作用は専門的には升提作用(しょうていさよう)と呼ばれます。上に持ち上げるいったニュアンスです。代表的な薬草には黄耆(おうぎ)、柴胡(さいこ)、升麻(しょうま)が挙げられます。この3つはセットで使われることが多く、さらに体力を付ける薬用人参などと合わせた補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が升提作用を発揮する漢方処方として有名です。つまりは気力・体力を高める漢方薬で、免疫力の増強にも役立ちます。
夏バテに対して単に補中益気湯を用いることもありますが、汗で失われた水分やミネラルを補う薬草、さらに体の熱を取る薬草などを加味した清暑益気湯(せいしょえっきとう)が用いられることもあります。
近年の夏は異常な猛暑を記録しています。クーラーの効いた部屋との温度差や、冷飲食の習慣、さらには寝不足などが夏バテの引き金になります。根本的な原因は上述の通り過労や加齢などが関連する体力不足と考えられます。漢方薬や他の医薬品、健康食品などでバテが取れても、それだけで根本的な体力が付いたとは言えません。いつものことですが食事・運動・睡眠などの生活習慣の見直しも忘れてはなりません。

ミシマサイコ(セリ科)
根を乾燥させた物が生薬“柴胡”
執筆者情報

研究報告・講演等
翻訳
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(中医臨床第107号2006年12月20日 「略論湿熱在中医児科発病学上的意義」浙江省中医薬研究院 王英) - 卵管閉塞による不妊36例に対する中西医結合治療
(中医臨床第105号2006年6月20日 「中西医結合治療輸卵管阻塞性不妊症36例臨床観察」 劉軍) - 加味玉屏風湯による抗精子抗体陽性の女性患者57例の治療
(中医臨床第105号2006年6月20日 「加味玉屏風湯治療女性抗精子抗体陽性57例」広東省仏山市第一人民病院 謝普練 韓慧) - 解表剤運用の心得
(中医臨床第103号2005年12月20日 「解表剤運用心法」北京中医薬大学薬学系 倪誠) - 中医による難治性眼疾患の治療効果
(中医臨床第102号2005年9月20日 「中医薬治療疑難眼病的療効簡介」中国中医研究院眼科医院) - 眼科領域における退翳明目法の応用
(中医臨床第102号2005年9月20日 「退翳明目在眼科的応用」山東中医薬大学付属医院眼科 郭承偉) - 「明珠飲」による内眼疾患の治療
(中医臨床第102号2005年9月20日 「中薬明珠飲治療内眼病挙隅」上海中医薬大学付属曙光医院眼科 潘雅?) - 名医の処方-疏肝解鬱益陰湯
(中医臨床第102号2005年9月20日 「疏肝解鬱益陰湯」河北省人民医院眼科 ?賛襄) - 明目地黄丸および益精昇陰法
(中医臨床第102号2005年9月20日 「明目地黄丸考証及応用-兼論益精昇陰法(二)」中国中医研究院眼科医院 高健生他) - 眼疾患に有用な方剤/石斛夜行丸方
(中医臨床第102号2005年9月20日 「試析石斛夜光丸方」北京中医薬大学東直門医院眼科 祁宝玉他) - 眼科領域における細辛の臨床応用
(中医臨床第102号2005年9月20日 「細辛在眼科臨床的応用」湖北省襄樊職業技術学院医学分院 汪碧涛) - 慢性前立腺炎の治療
(中医臨床第101号2005年6月20日 「中西医結合治療慢性前立腺炎的思路与方法」福建中医学院 戴春福) - 益気養陰清熱法を併用した急性骨髄性白血病の治療中医臨床
(中医臨床第100号2005年3月20日 「益気養陰清熱法輔助治療急性髄系白血病臨床療効観察」山東中医薬大学付属医院 徐瑞栄他) - 糖尿病性腎症の4大病機
(中医臨床第99号2005年3月20日 「糖尿病腎病腎小球硬化症的中医病機探討」上海中医薬大学付属龍華医院 劉玉寧) - 「気」の中医的概念と理気の方薬
(中医臨床第93号2003年6月20日 「緒論:中医的『気』与理気方薬」北京中医薬大学 王琦) - 「辛開苦降」の意味
(中医臨床第92号2003年3月20日 「辛開苦降」河北省浹水県医院中医科 劉興武) - 「風薬治血」-風薬による血病治療
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(中医臨床第88号2002年3月20日 「温胆湯的症例報告」南京医科大学付属淮安第一医院 李樹年)
他
東洋学術出版社『中医臨床』
薬剤師・薬学修士・国際中医専門員
毛塚 重行Shigeyuki Kezuka
- 学歴
- 東京薬科大学薬学部薬学科卒業
金沢大学大学院薬学研究科(薬用植物園)修士課程修了
南京中医薬大学留学(2000~2002) - 職歴
- 吉祥寺東西薬局勤務(1996~2000)
毛塚薬局勤務(2002~2005)
さくら堂漢方薬局開設・ 運営(2005〜)
国際医療福祉大学薬学部非常勤講師(2020~2024)
獨協医科大学看護学部非常勤講師(2025〜 ) - 所属
- 日本中医薬学会
日本東洋医学会
日本中医薬研究会
栃木中医薬研究会
東亜医学協会
日本漢方連盟
日本薬剤師会
