漢方の生薬
漢方薬のアロマ効果《NaturalLife75_’17.4》
新年度が始まりました。新しい環境の中で緊張感のある日々を送っている方もいらっしゃることと思います。ある程度の緊張感は心身の推進力となり,活動を充実させるには欠かせないものかも知れません。しかし負担の大きい緊張感は精神的ストレスとなって生活の質を落としてしまったり,甚だしければ体調を崩してしまうこともあります。
最初は軽度の疲労や肩こり,頭痛,食欲の亢進あるいは減退などがみられますが,長引くと胃腸障害,めまい,動悸,不眠などにおよび,さらに重症化する可能性もあります。症状がひどくなる前に対処したいものです。
ストレスによる諸症状の多くは,「気の流れの乱れ」と漢方では考えます。気の流れがスムーズであれば,体の様々な機能が順調に連携するのですが,気の流れが停滞すると連携がうまくいかなくなり,精神的にも肉体的にも様々な症状が発生します。
病院の検査では異常値が見られないことも多く,自律神経の問題,あるいは「気のせい」と片付けられてしまうこともあります。漢方ではまさに「気のせい」ですから気を調節します。
気の流れが滞った時に用いる生薬を理気薬と呼びます。気の流れをととのえる生薬です。この理気薬の多くに共通する性質が,良い芳香を有するということです。
代表的な理気薬にミカンの皮である陳皮(ちんぴ)があります。陳皮は消化器系の失調に使うことが多く,腹が張って苦しい,食欲がない,吐き気がするといったときに用いられます。同じミカン科のダイダイやレモン,仏手柑(ぶっしゅかん)などの実や皮も同様に用いられます。
シソ科のシソやハッカはストレスでイライラしたり,のどのつかえ感,焦燥感などが生じたときに多用されます。
お香の材料になる沈香(じんこう)や白檀(びゃくだん)も理気薬です。これらは比較的高貴な生薬ですが,少量で良効を示します。
芳香性のあるオイル成分を用いて心身のケアをするアロマセラピーが有名ですが,お香を焚いてリラックスするのも手軽にできていいものです。漢方における治療では基本的に理気薬を単独で用いることはせず,他の生薬と組み合わせて状態に応じた方剤として用いますが,ちょっとストレスを感じたときなどは,身近な香りの素材を楽しんで,気晴らしをしてみてはいかがでしょうか。
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研究報告・講演等
翻訳
- 小児疾患と湿熱の関係
(中医臨床第107号2006年12月20日 「略論湿熱在中医児科発病学上的意義」浙江省中医薬研究院 王英) - 卵管閉塞による不妊36例に対する中西医結合治療
(中医臨床第105号2006年6月20日 「中西医結合治療輸卵管阻塞性不妊症36例臨床観察」 劉軍) - 加味玉屏風湯による抗精子抗体陽性の女性患者57例の治療
(中医臨床第105号2006年6月20日 「加味玉屏風湯治療女性抗精子抗体陽性57例」広東省仏山市第一人民病院 謝普練 韓慧) - 解表剤運用の心得
(中医臨床第103号2005年12月20日 「解表剤運用心法」北京中医薬大学薬学系 倪誠) - 中医による難治性眼疾患の治療効果
(中医臨床第102号2005年9月20日 「中医薬治療疑難眼病的療効簡介」中国中医研究院眼科医院) - 眼科領域における退翳明目法の応用
(中医臨床第102号2005年9月20日 「退翳明目在眼科的応用」山東中医薬大学付属医院眼科 郭承偉) - 「明珠飲」による内眼疾患の治療
(中医臨床第102号2005年9月20日 「中薬明珠飲治療内眼病挙隅」上海中医薬大学付属曙光医院眼科 潘雅?) - 名医の処方-疏肝解鬱益陰湯
(中医臨床第102号2005年9月20日 「疏肝解鬱益陰湯」河北省人民医院眼科 ?賛襄) - 明目地黄丸および益精昇陰法
(中医臨床第102号2005年9月20日 「明目地黄丸考証及応用-兼論益精昇陰法(二)」中国中医研究院眼科医院 高健生他) - 眼疾患に有用な方剤/石斛夜行丸方
(中医臨床第102号2005年9月20日 「試析石斛夜光丸方」北京中医薬大学東直門医院眼科 祁宝玉他) - 眼科領域における細辛の臨床応用
(中医臨床第102号2005年9月20日 「細辛在眼科臨床的応用」湖北省襄樊職業技術学院医学分院 汪碧涛) - 慢性前立腺炎の治療
(中医臨床第101号2005年6月20日 「中西医結合治療慢性前立腺炎的思路与方法」福建中医学院 戴春福) - 益気養陰清熱法を併用した急性骨髄性白血病の治療中医臨床
(中医臨床第100号2005年3月20日 「益気養陰清熱法輔助治療急性髄系白血病臨床療効観察」山東中医薬大学付属医院 徐瑞栄他) - 糖尿病性腎症の4大病機
(中医臨床第99号2005年3月20日 「糖尿病腎病腎小球硬化症的中医病機探討」上海中医薬大学付属龍華医院 劉玉寧) - 「気」の中医的概念と理気の方薬
(中医臨床第93号2003年6月20日 「緒論:中医的『気』与理気方薬」北京中医薬大学 王琦) - 「辛開苦降」の意味
(中医臨床第92号2003年3月20日 「辛開苦降」河北省浹水県医院中医科 劉興武) - 「風薬治血」-風薬による血病治療
(中医臨床第91号2002年12月20日 「風薬治血探微」瀘州医学院付属中医院 鄭国慶) - 老中医たちがもっとも得意とする生薬…それが黄耆
(中医臨床第89号2002年6月20日 南京中医薬大学 黄煌) - 補陽還五湯の応用
(中医臨床第89号2002年6月20日 「補陽還五湯治験2則」江蘇省常熟市中医院 李葆華) - 黄耆の運用経験
(中医臨床第89号2002年6月20日 「黄耆的応用体会」南京中医薬大学 孟景春) - 黄耆の医案3例
(中医臨床第89号2002年6月20日 「黄耆医案3則」南京中医薬大学 黄煌) - 防已黄耆湯の解釈と臨床応用
(中医臨床第89号2002年6月20日 「防已黄耆湯」南京中医薬大学 蒋明・張国鐸) - 応用範囲の広い温胆湯
(中医臨床第88号2002年3月20日 「温胆湯的臨床応用」江蘇省連雲港市中医院 趙化南) - 温胆湯の症例報告
(中医臨床第88号2002年3月20日 「温胆湯的症例報告」南京医科大学付属淮安第一医院 李樹年)
他
東洋学術出版社『中医臨床』
薬剤師・薬学修士・国際中医専門員
毛塚 重行Shigeyuki Kezuka
- 学歴
- 東京薬科大学薬学部薬学科卒業
金沢大学大学院薬学研究科(薬用植物園)修士課程修了
南京中医薬大学留学(2000~2002) - 職歴
- 吉祥寺東西薬局勤務(1996~2000)br毛塚薬局勤務(2002~2005)brさくら堂漢方薬局開設・ 運営(2005〜)br国際医療福祉大学薬学部非常勤講師(2020~2024)
獨協医科大学看護学部非常勤講師(2025〜 ) - 所属
- 日本中医薬学会
日本東洋医学会
日本中医薬研究会
栃木中医薬研究会
東亜医学協会
日本漢方連盟
日本薬剤師会
