寝冷えにご注意を

暑いからといって、つい薄着で寝てしまったり、布団を除けてしまったりすると、カゼをひいたり、腹痛や下痢を生じることがあります。いわゆる寝冷えです。

眠りに入る際、体温が徐々に下降していくことは広く知られています。そのときに汗の水分で余計に体を冷やしてしまうことが寝冷えの原因とされています。体温を下げるのは、脳や体を休息させ、代謝量を減らすためです。もし、体温が下がりにくいと不眠の原因となります。入眠前には体は毛細血管を開いて内部の熱を外へ放出します。このときに発汗が生じやすく、とくに汗をかきやすい夏場、そして汗っかきの子供では注意が必要といわれています。暑い季節だからこその冷えというやっかいな病症です。

ここ数年は猛暑が続き、昼も夜もエアコンの風にさらされる機会が増えました。夜エアコンをつけてお休みになることも多くなれば、寝冷えのリスクは高くなるといえるでしょう。寝るときにはタイマーを活用し、気温や体温が最も低下する明け方にはエアコンが切れている状態にしておくべきです。

職場環境の冷やしすぎはよく耳にしますが、なかなか改善されない難題です。長時間、座りっぱなしで冷やされると、血流や代謝は悪くなり、自律神経や免疫系も失調します。冷たい飲食をとることも増えれば、なおさらです。また、外出の機会があれば、極端な寒暖差を強いられ、このことも自律神経には大きな負担となるでしょう。自律神経の失調は体温調節の乱れを生じ、免疫系の失調はカゼなどの罹患を容易にしてしまいますので、このような昼間の環境も寝冷えにつながると考えられます。

目に見えた発汗がなくても、冷え性の方では寝冷えを起こすことがあります。そういった方は腹巻きや、長袖の寝間着の必要性を身をもって感じていらっしゃることでしょう。

漢方では、衛気(えき)という気が体表面を覆って、汗とともに皮膚を潤して温め、外敵から身を守っていると考えます。しかし睡眠時、衛気は体内に入り、体表には少なくなります。もともと衛気が弱い人は体表に悪寒を感じてもおかしくありません。衛気の弱さは発汗にも影響します。衛気による汗腺の調節が鈍くなるためです。衛気が弱いということは、免疫力が弱く、カゼもひきやすい体質です。いろいろな面から体力を高めることを検討しなくてはなりません。

寝冷えは夏の季語だそうで、いろいろな句が詠まれています。明治から昭和中期を生きた高浜虚子に次の句がありました。「腹の上に寝冷をせじと物を置き」家族を思う気持ちも寝冷え予防に役立ちますね。