季節・天候と漢方
寝冷えにご注意を《NaturalLife112_’20.8》
暑いからといって、つい薄着で寝てしまったり、布団を除けてしまったりすると、カゼをひいたり、腹痛や下痢を生じることがあります。いわゆる寝冷えです。
眠りに入る際、体温が徐々に下降していくことは広く知られています。そのときに汗の水分で余計に体を冷やしてしまうことが寝冷えの原因とされています。体温を下げるのは、脳や体を休息させ、代謝量を減らすためです。もし、体温が下がりにくいと不眠の原因となります。入眠前には体は毛細血管を開いて内部の熱を外へ放出します。このときに発汗が生じやすく、とくに汗をかきやすい夏場、そして汗っかきの子供では注意が必要といわれています。暑い季節だからこその冷えというやっかいな病症です。
ここ数年は猛暑が続き、昼も夜もエアコンの風にさらされる機会が増えました。夜エアコンをつけてお休みになることも多くなれば、寝冷えのリスクは高くなるといえるでしょう。寝るときにはタイマーを活用し、気温や体温が最も低下する明け方にはエアコンが切れている状態にしておくべきです。
職場環境の冷やしすぎはよく耳にしますが、なかなか改善されない難題です。長時間、座りっぱなしで冷やされると、血流や代謝は悪くなり、自律神経や免疫系も失調します。冷たい飲食をとることも増えれば、なおさらです。また、外出の機会があれば、極端な寒暖差を強いられ、このことも自律神経には大きな負担となるでしょう。自律神経の失調は体温調節の乱れを生じ、免疫系の失調はカゼなどの罹患を容易にしてしまいますので、このような昼間の環境も寝冷えにつながると考えられます。
目に見えた発汗がなくても、冷え性の方では寝冷えを起こすことがあります。そういった方は腹巻きや、長袖の寝間着の必要性を身をもって感じていらっしゃることでしょう。
漢方では、衛気(えき)という気が体表面を覆って、汗とともに皮膚を潤して温め、外敵から身を守っていると考えます。しかし睡眠時、衛気は体内に入り、体表には少なくなります。もともと衛気が弱い人は体表に悪寒を感じてもおかしくありません。衛気の弱さは発汗にも影響します。衛気による汗腺の調節が鈍くなるためです。衛気が弱いということは、免疫力が弱く、カゼもひきやすい体質です。いろいろな面から体力を高めることを検討しなくてはなりません。
寝冷えは夏の季語だそうで、いろいろな句が詠まれています。明治から昭和中期を生きた高浜虚子に次の句がありました。「腹の上に寝冷をせじと物を置き」家族を思う気持ちも寝冷え予防に役立ちますね。
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研究報告・講演等
翻訳
- 小児疾患と湿熱の関係
(中医臨床第107号2006年12月20日 「略論湿熱在中医児科発病学上的意義」浙江省中医薬研究院 王英) - 卵管閉塞による不妊36例に対する中西医結合治療
(中医臨床第105号2006年6月20日 「中西医結合治療輸卵管阻塞性不妊症36例臨床観察」 劉軍) - 加味玉屏風湯による抗精子抗体陽性の女性患者57例の治療
(中医臨床第105号2006年6月20日 「加味玉屏風湯治療女性抗精子抗体陽性57例」広東省仏山市第一人民病院 謝普練 韓慧) - 解表剤運用の心得
(中医臨床第103号2005年12月20日 「解表剤運用心法」北京中医薬大学薬学系 倪誠) - 中医による難治性眼疾患の治療効果
(中医臨床第102号2005年9月20日 「中医薬治療疑難眼病的療効簡介」中国中医研究院眼科医院) - 眼科領域における退翳明目法の応用
(中医臨床第102号2005年9月20日 「退翳明目在眼科的応用」山東中医薬大学付属医院眼科 郭承偉) - 「明珠飲」による内眼疾患の治療
(中医臨床第102号2005年9月20日 「中薬明珠飲治療内眼病挙隅」上海中医薬大学付属曙光医院眼科 潘雅?) - 名医の処方-疏肝解鬱益陰湯
(中医臨床第102号2005年9月20日 「疏肝解鬱益陰湯」河北省人民医院眼科 ?賛襄) - 明目地黄丸および益精昇陰法
(中医臨床第102号2005年9月20日 「明目地黄丸考証及応用-兼論益精昇陰法(二)」中国中医研究院眼科医院 高健生他) - 眼疾患に有用な方剤/石斛夜行丸方
(中医臨床第102号2005年9月20日 「試析石斛夜光丸方」北京中医薬大学東直門医院眼科 祁宝玉他) - 眼科領域における細辛の臨床応用
(中医臨床第102号2005年9月20日 「細辛在眼科臨床的応用」湖北省襄樊職業技術学院医学分院 汪碧涛) - 慢性前立腺炎の治療
(中医臨床第101号2005年6月20日 「中西医結合治療慢性前立腺炎的思路与方法」福建中医学院 戴春福) - 益気養陰清熱法を併用した急性骨髄性白血病の治療中医臨床
(中医臨床第100号2005年3月20日 「益気養陰清熱法輔助治療急性髄系白血病臨床療効観察」山東中医薬大学付属医院 徐瑞栄他) - 糖尿病性腎症の4大病機
(中医臨床第99号2005年3月20日 「糖尿病腎病腎小球硬化症的中医病機探討」上海中医薬大学付属龍華医院 劉玉寧) - 「気」の中医的概念と理気の方薬
(中医臨床第93号2003年6月20日 「緒論:中医的『気』与理気方薬」北京中医薬大学 王琦) - 「辛開苦降」の意味
(中医臨床第92号2003年3月20日 「辛開苦降」河北省浹水県医院中医科 劉興武) - 「風薬治血」-風薬による血病治療
(中医臨床第91号2002年12月20日 「風薬治血探微」瀘州医学院付属中医院 鄭国慶) - 老中医たちがもっとも得意とする生薬…それが黄耆
(中医臨床第89号2002年6月20日 南京中医薬大学 黄煌) - 補陽還五湯の応用
(中医臨床第89号2002年6月20日 「補陽還五湯治験2則」江蘇省常熟市中医院 李葆華) - 黄耆の運用経験
(中医臨床第89号2002年6月20日 「黄耆的応用体会」南京中医薬大学 孟景春) - 黄耆の医案3例
(中医臨床第89号2002年6月20日 「黄耆医案3則」南京中医薬大学 黄煌) - 防已黄耆湯の解釈と臨床応用
(中医臨床第89号2002年6月20日 「防已黄耆湯」南京中医薬大学 蒋明・張国鐸) - 応用範囲の広い温胆湯
(中医臨床第88号2002年3月20日 「温胆湯的臨床応用」江蘇省連雲港市中医院 趙化南) - 温胆湯の症例報告
(中医臨床第88号2002年3月20日 「温胆湯的症例報告」南京医科大学付属淮安第一医院 李樹年)
他
東洋学術出版社『中医臨床』
薬剤師・薬学修士・国際中医専門員
毛塚 重行Shigeyuki Kezuka
- 学歴
- 東京薬科大学薬学部薬学科卒業
金沢大学大学院薬学研究科(薬用植物園)修士課程修了
南京中医薬大学留学(2000~2002) - 職歴
- 吉祥寺東西薬局勤務(1996~2000)br毛塚薬局勤務(2002~2005)brさくら堂漢方薬局開設・ 運営(2005〜)br国際医療福祉大学薬学部非常勤講師(2020~2024)
獨協医科大学看護学部非常勤講師(2025〜 ) - 所属
- 日本中医薬学会
日本東洋医学会
日本中医薬研究会
栃木中医薬研究会
東亜医学協会
日本漢方連盟
日本薬剤師会
