漢方日記

ニキビの漢方薬《知って得する漢方22_’08.6》

思春期のニキビは青春のシンボル,大人のニキビは吹き出物などとも呼ばれ,甘いお菓子や油物, ナッツ類などを食べ過ぎてできやすくなったり,悪化するといったことは,多くの方が経験されているのでは ないでしょうか。また,女性では月経の周期にしたがって増減が見られる場合もあります。
ニキビのできやすい場所は顔面ですが,思春期には頬や額に多く,大人では口の周囲やあごに多発します。 そのほか胸部や背中にも見られます。ニキビの状態も,赤みの強いもの,化膿しているもの,跡が黒っぽく残るものなど, 様々です。
ニキビはもともと毛穴に詰まる皮脂などが原因となるので,体表部の問題と見られがちですが, ホルモンのバランスや,情緒などとの関係も深く,体質を考慮した治療が必要です。

ニキビの漢方薬と体質改善

ニキビの漢方薬として清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)という処方が有名です。 この処方は顔面部の様々な炎症やのぼせに使用されます。ニキビでは赤みが強いことが目標となります。 一方,赤みは少なく,免疫力の低下などが見られれば,その改善が必要です。また,月経不順が見られる場合, 月経の調子を整えるだけでニキビが治癒することもあります。月経前に悪化する場合には,加味逍遙散(かみしょうようさん) などが多用されます。便秘はお肌の大敵ですから改善は必須です。黒っぽく跡が残りやすい場合には血行を考慮します。
このように体質は一人一人異なりますので詳しいご相談が必要となるのですが,どんな場合であっても 食事の内容や睡眠時間など,生活習慣の見直しは重要です。

知って得する漢方 No.22
(株)エーエスエーとちぎ中央発行『らいとプラザ』2008年6月号に掲載