漢方日記

みかんの皮は古い方がいい!?

炬燵にみかんは冬の定番ですね。簡単に手で皮を剥きながら食べることができ、手もあまり汚さずに楽しむことができます。。みかんの仲間、つまり柑橘系の果実はたくさんの種類がありますが、冬の炬燵に載るみかんは、ウンシュウミカンと呼ばれる種類が一般的とされています。

また、みかんの皮は薬味としてもおなじみで、七味唐辛子にしばしば含まれる材料の一つです。この薬味という言葉や一味二味といった数え方は漢方でも古来生薬に対して用いられてきました。例えば有名な漢方薬の八味地黄丸(はちみじうがん)は、八つの生薬で構成される処方です。婦人科でよく用いられる加味逍遙散(かみしょうようさん)という処方は逍遙散に二味の生薬を加えて生薬を加えてできあがります。

みかんの皮は、食材としても薬材としても陳皮(ちんぴ)の名称で呼ばれます。薬材にはウンシュウミカンのほか、近縁種も用いられます。中国では陳橘皮(ちんきっぴ)という別名があり、これは陳旧品の橘皮、つまり古い橘皮という意味になります。みかんは中国語で橘子と表記し、そしてみかんの皮は橘皮となるのですが、その橘皮を薬とする際、わざわざ経年劣化させた陳橘皮が珍重され、これを略して陳皮という言葉が生まれました。

中国伝統医学の中に六陳(ろくちん・りくちん)と呼ばれる、古いほど品質がよいとされる六つの生薬があります。なぜ古いほど良いのかというと、生薬の作用が強すぎるため、ある程度の時間を経過させ、穏やかにさせるのだろうと言われています。なんとその六つの中の三つが陳皮をはじめとするミカン科の生薬です。また六陳の一つでサトイモ科カラスビシャクの根茎を乾燥させた半夏(はんげ)はしばしば陳皮とセットで用いられます。陳皮と半夏を中心とした処方に二陳湯(にちんとう)があり、痰や唾液が多いときなどに用いられます。そのほかにも胃腸虚弱、食欲不振などに用いられる六君子湯(りっくんしとう)や、神経のたかぶりを抑制する抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)などの頻用処方に二陳の組み合わせが利用されています。

陳皮の薬理作用については様々な報告がなされており、現在とても重要な生薬の一つと認識されています。漢方処方の中で陳皮はめったに中心的な生薬にはならないのですが、欠かすことのできない名脇役として大きな存在感を示しています。

ちなみにみかんの実がまだ青いうちに採集した皮は青皮(せいひ)と呼ばれます。ストレスと関連する神経や筋肉の緊張、痛みといった症状に用いられます。

かつて生薬学の恩師が中国の生薬市場でとても古くて真っ黒になった陳皮が高値で売られていたとおっしゃっていました。しかし現在の流通品は、未熟果皮の青皮、成熟果皮の橘皮、橘皮を一年程度寝かせた陳皮と区別されており、極端に古く、風味の抜けきったものは必ずしも良品とは見なされておりません。

写真 左から青皮、橘皮、陳皮