漢方日記

初夏に花咲くスイカズラ《NaturalLife124_’22.6》

5月から7月頃、筒状の白い花を2本ずつ並んで咲かせ、ジャスミンに似た甘い香りを漂わせるスイカズラ。日当たりがよく、かつ乾燥しない場所を好み、山野の林縁や道端に生育する、つる性の低木です。園芸植物としても流通しています。

この白い花は時間が経つと黄色に変化します。つる全体に花々が順々に咲いていくと、白い花と黄色い花が混在し、非常に見応えがあります。この二色の花の姿から中国では「金銀花」と呼ばれます。また花が一箇所から二つずつ対になって並ぶため、「双花」という別名もあります。

日本ではスイカズラに対して「忍冬」という漢字を当てます。これも中国の別名で、冬でも枯れない葉や茎の姿が寒い冬を耐え忍んでいるように見える様を表現しています。

スイカズラは花の基部に甘い蜜があり、それを吸って甘味を楽しんだため、“吸い葛(かづら=つる植物)”からスイカズラとなったといわれています。

欧米へも観賞用に伝わったそうですが、繁殖力の強さから侵略的外来生物とされているとのことです。日本ではそこまで繁殖しているイメージがありません。生態系の微妙なバランスを崩してはいけないのだなと改めて思います。

スイカズラは漢方のなかで重要な生薬でもあります。使用されるのは花の蕾と茎葉の部分です。花の蕾は「金銀花(きんぎんか)」、茎葉は「忍冬(にんどう)」という生薬名で流通しています。忍冬は秋に葉とそれにつく柔らかい茎を採集した物で、葉の多い物が良品とされています。

金銀花は消炎解毒の代表的な生薬です。感冒や皮膚の炎症、化膿といった状態に幅広く使われます。金銀花を含む代表的な処方には銀翹散(ぎんぎょうさん)や荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)などがあります。銀翹散は咽の痛みや発熱のある感冒などに、荊防敗毒散は急性の湿疹、皮膚炎などに用いられます。

忍冬も消炎解毒の作用があり、湿疹、皮膚炎に用いられ、とくに頭部の化膿性疾患を改善する治頭瘡一方(じずそういっぽう)という処方に含まれています。さらに中国では関節の炎症性疼痛などにもしばしば用いられます。

近所の道端に一本のスイカズラが植えられています。毎年この季節、満開となる金銀の花を楽しんでいます。

Natural Life No.124
(株)エーエスエーとちぎ中央発行『らいとプラザ』2022年6月号に掲載