漢方日記

月経不順の 漢方薬《知って得する漢方2_’06.10》

月経不順の治療として,体質を把握し適切な漢方薬を服用するは大変有効です。周期変化のほか,出血の量や質,さらには随伴する生理痛やイライラなどの不快な症状も体質を知る重要なヒントとなりますから,これらの状況もチェックしましょう。

月経不順の漢方的なタイプ分け

■月経が遅れやすい場合

  • ①血の不足タイプ:大幅に遅れやすく,出血量が少ない。生理の終わり頃にだるさやめまい。その他肌のカサツキや冷えを伴うことも。血を補う婦宝当帰膠などが有効。
  • ②血行不良タイプ:生理痛が強く月経血にレバーのようなかたまりが多い。そのほか頭痛・肩こりなどを伴う。血行を改善する桂枝茯苓丸などが有効。
  • ③冷え性タイプ:血行不良で冷えの症状を伴う。生理期間は長め。体を温め,血行を改善する温経湯などが有効。

■月経が早くなりやすい場合

  • ④体力不足タイプ:量は少ない場合も多い場合もあり,時に不正出血がみられる。生理中はだるく眠い。血の不足を伴うと周期が遅れる。体力や血を補う帰脾湯などが有効。
  • ⑤のぼせタイプ:量は多め。生理痛は軽い。体は暑がりなのに手足は冷える。便秘や肌荒れを伴うことも。余分な熱を取り去る温清飲などが有効。

■早くなったり遅くなったりする場合

  • ⑥気の流れが悪いタイプ:生理前のイライラが激しい。生理痛も生理前に胸や腹が張って痛む。筋肉や神経の緊張をほぐす加味逍遥散などが有効。

※このように,月経の状態を把握することは,生理痛や更年期障害,不妊症などの婦人科疾患はもちろんのこと,様々な治療に役立ちます。